皮と革。どう違う?
皮とは動物の皮膚・原皮のことで、加工する前のものを指します。革とは、皮のままでは腐敗してしまうのでそうならないよう鞣(なめ)し、カバンや財布などのパーツに使用できるものを指します。
牛革カバンの原皮は肉牛?乳牛?オス?メス?
カバンに最も適している革は乳牛の去勢されたオスです。(※厳密には生後6ケ月のカーフや生後1年のキップがより上質な革なのですが、希少な為、ここでは除きます)
日本国内で作られている革のうち、
70%が兵庫県姫路周辺で作られています。
皮革で大切なことは、牛は主として肉、乳の食用であるため、皮革は副産物であるということです。よって革を使用するということは、それ自体がエコであることになります。
牛は大きく4種類に分かれ、肉牛のオス、メス、乳牛のオス、メスがあります。ではなぜ、乳牛の去勢されたオスの革がカバン製作に最も適しているのでしょうか?
乳牛のオスは乳が出ないので、肉はミンチ肉にされるため生後2年で屠殺(とさつ)されます。種牛を除き生後半年で去勢されるので、気性が荒くないため表皮のキズも少なく、皮が若いためキメが細かく、とても状態の良い皮になります。
乳牛のメスについては乳の出なくなる生後6年で屠殺されるので、その頃にはヨボヨボの皮になっており、カバンを作るには状態の良い皮ではありません。
牛のオス・メスについては生後2年で成牛となり、それからおいしい霜降りの牛肉にするために太らせる餌に変わり、生後3~4年で屠殺(とさつ)されるので、ブヨブヨに太ったその皮もとても状態の良い皮ではないのです。
原皮は国内の牛、北米の牛、 どちらがよい皮?
原皮は、北米の牛がよい革となります。なぜ、北米の牛がよいのでしょうか?
それは、北米の牧場はとても広く、1オーナーの管理下で牛を育てているため、品質が一定で安定しているからです。
毎回同質の皮を仕入れることが出来ます。
また、北米では穀物の粉を主食とさせているため、原皮の繊維質が柔らかくてしなやか、そして厚みもあります。
それに対し、日本の牧場は北米に比べて極端に小さく、1つ1つの牧場でオーナーが異なり、管理によって牛の質が異なり、原皮の状態が安定しないのです。
牛の質が異なり、原皮の状態が安定しないのです。「前の皮がよかったから同じものを」と希望しても、同じオーナーから同質の皮を供給されるのは難しいのです。
また、国内は牧草を主食とさせているため、原皮は繊維質が硬く、薄くなります。
同じ牛皮でも、肉牛、乳牛、オス、メスによって皮質は全く異なり、皮の値段は大きく異なります。
原皮はそのままでは腐敗してしまうので、最も悪い状態のものは0円で取引されるものもあります。
しかしそんな皮を使ってカバンを作ってしまっては、とても残念な製品が出来上がってしまいます。
皮革製造においてもっとも重要なことは、良い原皮を仕入れることなのです。